普通の個人投資家が一流のファンドマネージャーをアウトパフォームできる簡単な方法

各種考察

普通の投資家がファンドマネージャーによる運用成績の平均値を軽く上回る方法として、インデックス投資があります。

米国株式市場(S&P500)などへのインデックス投資は長期的には95%以上のアクティブファンドにアウトパフォームするということが、インデックスファンドの投資信託であるヴァンガード社を創設し、インデックスファンドの発明者でもあるボーグル氏の著作『インデックス投資は勝者のゲーム』に書かれております。

つまり、個人投資家は、取引手数料と運用コストが安いインデックスファンドもしくはETFを購入し、保有し続ければ世の中の殆どのアクティブファンドに運用成績で打ち勝つことができるのです。

少し考えてみるとわかりますが、これはおかしな話ですよね?

このことが事実であれば、アクティブファンドのファンドマネージャーも同様にインデックスファンドを運用すればよいですものね。

しかし、そうは問屋が卸しません。

アクティブファンドがインデックス投資を出来ない理由と、それゆえに個人投資家はインデックス投資により常勝できる理由を説明していきます。

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アクティブファンドがインデックスファンドをアウトパフォームできない理由

高い経費率

アクティブファンドの全てがインデックスファンドの運用成績に圧倒的に劣後しているかというと、そうではありません。

むしろ、単純に選定銘柄の運用成績自体ではインデックスファンドと同等かそれ以上の成績であるアクティブファンドは多いのです。

それでは、なぜインデックスファンドに負けてしまうのでしょうか?

それは、アクティブファンドは運用コストが非常に高いからです。

例えば、市場平均(インデックスファンド)よりも高い運用成績をおさめるには、市場平均を凌駕する銘柄を選定しなければなりません。

そのような優秀な銘柄を見つけるには、沢山の銘柄調査が必要になります。

そのためには多くの優秀な証券アナリストを雇わなければなりませんし、外部機関の調査資料を購入して比較検討しなければなりません。

それらすべての活動にはコストがかかります。従って、アクティブファンドは市場平均にアウトパフォームするだけでなく、このような人件費や会社の運営費を含めた多額のコスト分も回収しなければなりません。

このコストを回収するためには、ファンド運用するための経費として信託報酬が嵩みます。

信託報酬は、安いファンドで1%程度、普通のファンドで1.5%程度、(沢山存在する)詐欺的なファンドでは2%を超えるものもあります。

一方で、インデックスファンドは0.2%を切るものが多く、ヴァンガード社のVOO(S&P500)はナント0.04%です!(2019年4月現在)

アクティブファンドがインデックスファンドに打ち勝つには、この信託報酬の差を上回るパフォーマンスを出す必要があるのです。

高い銘柄組み換え率

インデックスファンドは、決められた水準を満たす銘柄をインデックスに組み入れ、水準を満たさなくなった銘柄をはずす作業が運用上必要になり、これには取引手数料がかかります。

しかし、インデックスファンドは一般的に、この銘柄組み換え率が非常に低いため、取引手数料がさほど発生しません。

しかし、アクティブファンドはわけが違います。

多額のコストを賭けて選定した銘柄であっても、期待したパフォーマンスを得られなければ即座に銘柄を外し、代わりの銘柄に組み替えます。

従って、銘柄の組み換え率はインデックスファンドよりもはるかに高くなるため、それに付随する大きなコストも発生します。

動けば動くほど期待リターンは追加コストにより目減りしていくのが株式市場の真理です。

無論、ファンドはこのコストも回収する必要があるため、顧客への実質パフォーマンスは更に目減りすることになるのです。

自分で自分の首を絞めているような構図に見受けられますね。

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高い運用成績を毎期要求される

ファンドマネージャーは資産運用のプロ中のプロですから、上記二つの項目は重々承知です。

それにもかかわらず、多額のコストをかけて黄金銘柄を血眼になって探し求め、短期的パフォーマンスが悪化したら即座に銘柄を組み替えることで更なる追加コストを発生させるという愚行を、プロ中のプロが何故行い続けているのでしょうか?

その理由は、ファンドは短期的な高い運用利回りを要求され続けるからです。

アクティブファンドの顧客は、虎の子である資産を預ける投資家です。

この投資家たちの願いはただ一つ、できるだけ高いパフォーマンスで運用してもらうことです。

従って、例え前期の運用利回りが高くても、今期の成績がイマイチであれば、投資家は他のもっと成績の高いファンドに鞍替えしてしまいます。

運用資金が減ってしまえば投資信託は運用コストを回収できなくなってしまい、やがてファンドは解散の憂き目を見ます。

そうならないためには、アクティブファンドは常に好成績を収め続けて市場平均(インデックス)に勝ち続けなければなりません。

そのために多額のコストをかけて、自らの首を絞め、投資家に低いリターンを提供しているというのが、投資業界の知られてはいけない真実です。

そして、インデックスは市場平均であるため、一生懸命アクティブファンドが株を運用することにより、歪みのない効率化された市場の恩恵を最も大きく甘受することができるのです。

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まとめ

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アクティブファンドという仕組み自体が如何に愚かなものであり、インデックスファンドへの投資がどれほど合理的な選択であるかご理解いただけたでしょうか?

20年以上という、市場の暴騰と暴落のバイオリズムを取り込むほど長期的な視座に立てば、インデックスファンドは無数のアクティブファンドに無双するということは歴史が証明しております。

従って、投資スキルを持たない個人投資家であっても、簡単に資産運用のプロ中のプロに圧倒することができるのです。

個人投資家がその道のプロに打ち勝つ最適解が、市場全体(インデックス)に投資して何もせずに持ち続ける(買い続ける)だけというのは、皮肉な話ですね。

最低限の努力と最低限のコストで最大限の成果を上げることができるのがインデックス投資であり、その中でも最も効率的な市場が米国株式市場であり、それこそが私がS&P500インデックスファンドに傾倒する理由です。

 

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