【宝の地図】株式投資の本質が詰め込まれた最重要な一枚の図【株式投資の優位性】

インデックス投資の極意

株式投資に興味を持ったり投資を開始したきっかけは何でしょうか?株式投資を始める前にリスク資産への投資をしたことが無かった方であれば、それなりに強い動機と根拠がおありだったと思います。

私の場合は、そのきっかけは一枚の図でした。この図を見た瞬間に、脳内物質が大量放出されて血がたぎったのを今でも鮮明に覚えております。青天の霹靂とか、目から鱗が落ちるとか、そんな生半可で陳腐な言葉では言い表せないような衝撃的な出来事でした。また、何故こんなにも大事なことをもっと早く誰も教えてくれなかったんだと少し世を恨んだりもしました。

10代後半の頃の私の趣味は哲学書を読むことであり、また大学では物理学を専攻していたため抽象的に物事を考えることがわりと好きであり、情報を削ぎ落して抽出した「世の理」や「本質」などを多少は知っているつもりでした。しかし、この図を見たとき、何と重要なことを知らずに(見落として)生きてきたのだろうと、恥じるような気持ちさえ生まれました。

本ブログを書き始めたのも、この一枚の図が物語る事実を出来るだけ多くの方に知っていただきたいためです。確率論的な期待値の観点からは、この情報を知って適切に行動した人から豊かになるとさえ言えます。しかも、知るのは早ければ早いに越したことはありません

本記事では、この株式投資どころか資本主義社会において何よりも重要なことが描かれた一枚の図について詳述します。

株式投資の本質が込められた一枚の図

出典:AAII Journal

私が今まで見た中で最も重要である「富を築くための宝の地図」がこちらの図です。

美しいですよね?この図は米国市場の株式、債券、米ドル、そしてゴールドの200年以上に渡るドル建ての価値の推移を示したものであり、海外株式投資家では知らない人が居ないと言っても過言ではないジェレミー・シーゲル先生が書かれたものです。

図の中のそれぞれの線は、以下を表しております。

Stocks:米国株式インデックス(配当再投資)
Bonds:長期米国債
Bills :短期米国債
Gold   :GOLD
Dollar :米ドル
評価条件は、1802年に各資産クラスに1ドル投入した場合の実質トータルリターンです。Stocksは米国株式インデックスですが、これは米国株式市場全体を表します。日本だと日経平均とかTOPIXみたいなものの米国版です。

実質トータルリターンとは株や債券などの配当・利子を同一資産クラスに再投資する条件で、インフレ率を調整した(差し引いた)値です。つまり、物価上昇に伴うドル紙幣の価値の希薄化を差し引き、実際の購買力を示したものです。

米ドルのインフレについては、図を見ると1940年辺りから始まり、特に金本位性が終焉を迎えた1971年のニクソンショック以降、インフレ率の増加に伴い米ドルの実質的価値(購買力)が右下がりに減価していることが見て取れます。

つまり、現在のようにゴールドの後ろ盾がない法定通貨は預金しているだけでは価値が毀損されていく性質があるということですね。

この図で注意が必要なのは、縦軸が対数軸となっている対数グラフであることです。対数グラフとは、一メモリ毎に一定倍率増加するグラフです。上図の場合は縦軸が1メモリ増えると資産価値は10倍になります。

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さて、それでは青い線で示された米国株式インデックスにご注目ください。株式投資の本質、それは実質ベースで右肩上がりの指数関数的な価格推移です。

赤い直線は年間実質リターン6.7%を表す直線です。このラインを青線が行ったり来たりしながら絶えず右肩上がりに推移している様子が見て取れます。これは、米国株式市場の価値が急上昇(好景気)と急降下(景気後退)を繰り返しながら、長期的に見たら実質的な購買力ベースで6.7%増加するペースで200年間以上に渡って価値を増大させ続けたということを示しています。

複利については、72を年間リターンで割った値が二倍になる期間(年数)を表す「72の法則」を使うと、72÷6.7≒10.75となるので、概ね11年で価値が倍増するペースとなります。この図の期間では212年で93万倍ですね!!

但し注意が必要なのは、短期的には負けることがあるということです。最悪のタイミングで買ってしまった場合は、短期といっても最大で15年ほどの潜伏期間を覚悟する必要があります。しかし、20年以上の投資条件(配当再投資)であれば、米国株式市場は文字通り負け無しです。

また、20年以上の長期投資であれば、債券よりもリスクが小さいということもシーゲル氏の研究によりわかっております。つまり、過去200年の研究結果から言えることは、米国株式インデックスの20年以上に渡るバイ&ホールドであれば、債券と比較してリスクが小さくリターンが大きかったということです。

なお、日本に生きる我々は日本円で生活しているため、米ドル建てである上図がそのまま当てはまるわけではなく、為替リスクが存在します。とはいえ、米ドルが基軸通貨であることと、名目ではなく実質ベースの推移であること、グローバル化した世界は為替と貿易を通じで繋がっており市場の歪み(アービトラージ)は是正される効率的市場であることから、短期的な為替リスクはあれど長期的にはさほど問題がないのではと考えます。

それでも、100年に一度規模であるリーマンショック級の大恐慌が来たら、米国株式インデックスは円高により円建てでは1/3程度まで一時的には下落することには注意が必要です(つまり2/3の下落率です)。たとえそのような下落がきたとしても、数年待てば盛り返すレジリエンス性が米国株式市場にはあるということがこの一枚の図には示されていることも特筆すべき点ですね。

このようなタイミングリスクを抱えているのが株式投資ですが、購入時期を分散させることによってこのタイミングリスクをある程度回避することができます。その投資手法が、ドルコスト平均法により定期的に定額を買い増し続けることです。

私はドルコスト平均法を採用し、eMAXIS Slim米国株(S&P500)を定期的に買い付けることにより、市場のうねりに翻弄されずに赤線の実質リターン6.7%を取りにいく戦略です。相場が上がろうが下がろうが無機質に機械的に無思考に愚直に只々マシーンのように買い付けることが、再現性の高い合理的手法であると理解しているためです。

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まとめ

私にとって、株式投資にベットする最大の拠り所は上述したたった一枚の図です。他に重要な情報といえば、ピケティの「r>g」ぐらいですね。究極的には、この二つのエッセンスさえわかっていれば、その他の情報は枝葉末節とさえ思えてきます。この二つの情報は、物理学でいうところの「ニュートンの運動方程式」と「アインシュタインの相対性理論」といったところでしょうか。

米国株式市場への投資は、過去200年に渡り他のアセットクラスを圧倒してきました。また、配当再投資を伴う20年以上の所有であれば、必ず(いつ購入しても)実質リターンでプラスとなってきました。長期投資であれば指数関数的な右肩上がりを示すということが、この図に秘められた株式投資の、ひいては資本主義社会のエッセンスです。

より詳しい説明は、シーゲル氏の「株式投資」(通称緑本)に記載されておりますので、更に深堀したい人はぜひお読みください。なお、原著は”Stocks for the long run”です。

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