S&P500が最高値を更新し続けるのが当たり前である理由

インデックス投資の極意

連日にわたり過去最高値を更新し続ける、米国の大企業約500社に紐づく株式インデックスS&P500。過去最高値となると警戒心が強まるため、株の購入を控える投資家も多いと思います。

株式指数は上がれば上がるだけ短期的に見たら下がり代が大きくなるため、まとまった資金を一括投入するのは確かに憚られますが、かといって積立を停止するということは控えるべきだと思います。

何故なら、米国株式市場(S&P500)は長期的に見れば最高値を更新し続けるのが歴史的に見て当たり前だからです!

米国株式市場の過去の価格推移

米国株式市場の過去40年での平均リターン(配当込み)は約10.5%です。

上の一文、さらっと書いてありますがこれはとんでもなく凄いことではないでしょうか?

40年前にS&P500に1万ドル投資して配当再投資をしていたら、平均すると毎年10.5%ずつ資産が増え続けて今頃は約54万ドルになっているということです!

とはいえ、インフレもありますし日本円に換算するなら為替リスクもありますし、そもそも過去40年程度では十分な実績とは言えないという意見もあるでしょう。

それでは、過去200年にわたってインフレ率分を差し引いた実質リターン(配当再投資条件)が約6.7%と言われれば、どうでしょうか?実質リターンとは名目リターンからインフレ率分を除算したものですので、実質的な価値(購買力)の向上率を表します。

出典:AAII Journal

はい、本ブログの読者の方にはお馴染みのやつです(笑)

この図で青い線が米国株式市場(S&P500相当)の配当再投資条件での実際の値動きであり、赤線が年率6.7%で推移する直線です。ここで注意が必要なのは、縦軸が対数軸となっていることです。

対数軸とは一定間隔毎に一定倍率になるような軸のことであり、上図では等間隔で10倍になっていることがわかります。つまり、赤線は時間の推移に比例して大きくなっているのではなく指数関数的に増加の一途を辿っている線です。青線をみると、一定範囲での乱高下はありますが、全体的に見ればこの赤線を行ったり来たりしながら、指数関数的に右肩上がりで推移していることがわかります。

つまり、米国株式市場は200年の間、乱高下を繰り返しながらひたすら過去最高値を指数関数的に更新し続けたという事実が見て取れます。この図は配当再投資条件ですので配当無しだと少し見劣りしますが、それでも全体の傾向は変わらないでしょう。

以上から、S&P500は過去最高値を更新し続けるのが当たり前だと言えます。

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S&P500が投資家心理の荒波に揉まれても長期的には右肩上がりである理由

さて、過去200年に渡って米国株式市場の株価指数(S&P500相当)が過去最高値を指数関数的に更新し続けたということがわかりました。ところで、なぜこのような猛烈な上昇推移となるのでしょうか?

その理由を端的に述べると、S&P500は「利益を生むマシーンである米国の株式会社」の集合体であるからです。

株価は、元々は個人投資家の投資家心理が動かしておりましたが、ヘッジファンドの資産規模が膨大に膨れ上がった現在では機関投資家(もっというとAIトレーダー)が動かしているといえます。

しかし、これは長くても数年単位という短期的な目線での話です。株価指数が上がろうが下がろうが、生産性の高い米国民が日夜働くことで、株式会社は全体では利益を上げ続けます。

株式会社が存続しているということは労働者を雇えるということであり、労働者が雇えるということは労働者の賃金分以上の利益を会社が上げているということです。その利益の一部は、配当金や自社株買いという形で株主に還元されます。

つまり、下落相場は機関投資家や投資家が持ち株を売ることで作られているだけであり、例えS&P500が下落相場であっても株式会社群が利益を生み出すことで株式市場のパイは底上げされ続けております。

やがて下落が底打ちしたら、株式会社(株券)の本来の価値が再評価され、適正価格になるまで市場に資金が戻ってきます。この下落相場の間にも株式会社は上述の通り利益を上げ続け(不況により利益率は下がりますが)、その間に株主還元された分の資産規模だけ株式市場は成長します。

これにより、上の図で見られるように、基本的に次に来るウェーブはその前のウェーブよりも一段高いところで推移していると考えられます。

それでは、何故日本の株式市場はそうはなっておらず、30年に渡って低迷しているのかというと、単純に利益率が米国に比べて半分程度と低いことと、株式還元率も低いことが理由です。また、30年前に時価総額世界トップランキングに日本企業が雁首揃えるなどという異常な高評価を得て、成長の罠に思いっきりハマったことも原因でしょう。

そんな株主に対して好ましくない市場である日本であっても、アベノミクス以降の株高の結果、配当再投資後の指数では過去最高値に肉薄しております。また、より長期の期間で見れば、日本の株式市場も右肩上がりとなっていることでしょう。(利益率と還元率が低いため勾配は米国よりも小さいでしょうが)

本論はあくまで私の仮説ではありますが、右肩上がりの株式市場の土台を支える「価値の源泉」は何かというと「株式会社で働く人々」であり、経済はその労働者たちで支えられているということは間違いないと考えます。そして富裕層は労働者達の神輿の上で甘い汁を吸い続けているという支配の構図も…

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まとめ

S&P500が過去最高値を更新し続けておりますが、本来はこの状況が続くのが自然なことなのだと思います。

しかし、多額の資金で市場を動かして投資家をパニックに陥れることにより、本来のバリュー以下で仕込むような機関投資家やAIトレーダーの思惑や、短期的な利益を狙い損失を嫌う個人投資家達の投資家心理により、市場は大きな上昇と下落を繰り返すというバイオリズムが形成されてしまっております。

これはどうしようもないことですので、賢明な長期投資家は短期的な値動きにはあまり気を留めることなく、上昇相場でも淡々と積立て、下落相場はバーゲンセールだと捉えてまとまったお金があるならそれを投じることで、次の市場のサイクルでの資産増幅の起爆剤とするのが良いのでしょう。

現在、現金割合が大きめの私はまさにこの手法を狙っております。

私の投資戦略のより詳しい説明を以下に記載しておりますので、よかったら合わせてお読みください。

 

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