【家族編】現実的なセミリタイア手法と必要な金額【5000万円】

共働きFIRE戦略

本記事では、家族持ち世帯の場合に最も合理的と思えるセミリタイア手法と、それに必要な金額を整理しました。
以下の条件に当てはまる場合は、本手法を用いることで安定したセミリタイア生活が望めます。

セミリタイア手法の必要条件と必要資金
家族持ち世帯で生活費月25万円以下
必要資金:5000万円

生活費月25万円以下の家族持ち世帯に必要なセミリタイア資金は5000万円

配偶者がいる家族持ち世帯の場合の年間収入計画は以下です。

・投資取り崩し額:160万円
・労働収入
夫:100万円
妻:60万円
⇒合計収入:320万円

投資収益

ここでは、投資手法として米国を中心としたインデックスファンドへの投資を前提とします。

米国株式市場の指数であるS&P500に連動するインデックスファンドと短期米国債に50:50で投資した場合、過去数十年間のリターン結果を見ると、30年間もの長期間に渡って毎年4%+インフレ率変動分を取り崩したとしても破産することはほぼ無かったという知見(トリニティスタディ)があります。

この結果はドル建てですので円換算で成り立つかどうかは不明ですが、ドルが世界の基軸通貨であることと、世界は貿易と為替でつながっているため効率的市場であることを仮定すると、トリニティスタディはインフレ率を考慮した実質レートでの長期的な評価結果であるため日本円でもそこそこ成り立つのではと考えられます。

なお、トリニティスタディでは、S&P500に75%、米国社債に25%の配分にすることにより、堅牢性が高くかつ資産増大化の観点で高効率となることが導かれますが、詳細は以下の記事に譲ります。

以上の知見から、資産運用額の最低条件としては米国を中心としたインデックスファンドで5000万円運用し、取り崩し割合は4%とすることで、毎年税引き後160万円の不労所得を得ることを目標とします。

余裕があるか、もしくはセミリタイア生活の中で資産額が膨らんできたら、3.5%の取り崩し割合に移行することにより盤石で鉄壁な経済基盤を築くことを推奨します。

なお、高配当増配株戦略の場合は、配当収入が税引き後160万円となった段階でこの条件はクリアです。

事業&給与所得

事業&給与所得は160万円以上を目標とします。

独身セミリタイア編と同様に、個人事業主として事業を行いましょう。異なる部分は、妻を青色事業専従者として雇い、65万円の非課税枠が得られる青色専従者控除制度を活用する点です。

これにより、夫婦そろって年100万円の事業所得までは課税控除となります。従って、個人事業主としての収益が育っていれば、最大で200万円分の所得まで非課税で受け取れますが、160万円以上であれば月25万円生活には十分です。

個人事業主として年収160万円の収益を得ることが困難な場合は、足りない分を夫婦どちらかがアルバイトを行えばOKです。妻の場合は、青色事業専従者でなければ給与控除枠65万円と非課税控除額35万円で計100万円まで非課税でアルバイトが可能です。

個人事業主としての活動が全くうまくいきそうにないなら夫婦ともに100万円以下のアルバイトを行うのもありです。その場合はブログ等の半不労所得を得られなくなりますが、隙間時間にWeb事業を運営しても「収益-経費<20万円」となるなら確定申告は不要(非課税)になります。

子供がいる場合は扶養控除も入れられるため給与所得を増やすことが可能ですが、月25万円の生活費であれば夫婦のみの控除枠を有効活用するだけで達成可能です。

なお、夫婦ともに労働力として稼働できるため堅牢性が高い形態ではありますが、家族を抱えているため大きなリスクは取りづらいので、どちらかに何かがあったときにも対応可能であるように、そこそこ稼働すれば最悪一人でも稼げる労働所得として160万円に設定してます。

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税金・社会保険料

次に、税金と社会保険料について見ていきましょう。

所得税・住民税

個人事業主は青色事業申告を行うことで所得税に対しては103万円、住民税に対しては100万円(正確には98万円ですが、100万円までは非課税控除額が適用される)の所得控除枠が得られるため、事業所得が100万円以下であれば、所得税および住民税はゼロとなります。

配偶者については、前述した青色事業専従者として申請すれば事業所得から青色事業専従者給与を支払うことができ、基礎控除と合わせて100万円まで所得税および住民税はゼロとなります。

青色事業専従者を申請せずにアルバイトを行う場合も、給与控除と基礎控除合わせて100万円まで非課税です。

国民年金

青色申告を行う個人事業主であれば、扶養家族がいない場合は前年度事業所得が122万円までであれば国民年金を全額免除とできます。(扶養家族一人につき35万円の控除額追加)

国民年金の保険料は月額16410円(令和元年現在)ですから、年間で約20万円免除されることになります。セミリタイア民にとっては大きなメリットとなりますね。

しかし、国民年金保険料を全額免除した場合は、免除期間に納めた分に対して老後に貰える年金が1/2となります。とはいえ、実際の出費は無いのに1/2払ったのと同等の扱いになるというのは、自分年金を確保しているセミリタイア民にとっては十分なメリットです。

配偶者についても、収入面に余裕がない限りは年間約20万円を払うのは負担が大きいため、全額免除が最有力案となるでしょう。二人で一人分の年金を老後に貰い、足りない分は資産運用額の取り崩しで補う戦略ですね。

年金保険料の免除割合の詳しい条件については、以下の日本年金機構のページをご確認ください。

国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度(日本年金機構)

国民健康保険

日本の社会保障は世界でもトップクラスに充実しております。健康保険に入ることで、医療機関の処置を受けた際の自己負担割合が3割以下となる大きなメリットが得られます。

また、健康保険に関しては国民皆保険制度というものがあります。この制度により、日本国民はだれもが健康保険制度に加入する義務があり、自営業やフリーターであれば国民健康保険に加入することになります。

国民健康保険は国民年金制度とは違って所得が少なくても全額免除にはなりませんが、減額制度があります。

減額割合は7割、5割、2割の減免措置があり、前年の世帯所得に応じて自動的に決まるため申請は不要です。(市町村によっては申請が必要な免除制度あり)

保険料自体は法律に則って市区町村ごとに規定されるので一概に幾らであるとはいえませんが、減額基準は以下のようになります。

・世帯所得33万円以下:7割減額
・世帯所得60万円以下:5割減額
・世帯所得82万円以下:2割減額

従って、青色申告を行って事業収入200万円以下(夫:基礎控除+青色特別控除、妻:基礎控除+青色専従者控除)となるか、個人事業を行わない場合で給与所得が各々100万円以下(基礎控除+給与控除)の夫婦であれば、世帯所得は0円となるため、国民健康保険料は7割減額となります。

これにより、一人当たり年間2万円、夫婦で4万円程度の健康保険料におさえることができます。

なお、個人事業主の場合は国民健康保険の適用となるため、収入の多寡によらず配偶者を健康保険の扶養に入れることができない点に注意が必要です。

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まとめ

以上の検討結果をまとめると、以下のようになります。

家族持ち世帯の安全なセミリタイア戦略
年間収入
・投資収益160万円:運用資金5000万円の4%を切り崩す
・労働収入160万円:個人事業主として青色申告で課税所得0円、パートナーを青色専従者とする。足りない分は夫婦でアルバイト(年収100万円以下)により賄う。(事業所得 > 給与所得であれば事業所得として認められる見込み※2022年追記)
年間支出
・税金0円:所得税および住民税0円
・社会保険費4万円:国民年金0円、国民健康保険2万円程度×2
年間収支
手取り年収316万円(月額26万円

資産5000万円でセミリタイアするためのキーポイントは単身セミリタイア編と同様に、固定費削減を長期的に行うことで生活満足度は維持しつつ可能な限り生活費を下げることと、投資資金を貯めている間に長期的にネットビジネスの種を撒いておくことです。

なお、本記事の内容はセミリタイアが実現可能となる最低限の資産条件を検討したものであり、社会保障の面で少し心許なさがあります。

従って、年金や保険の面での不安がストレスと感じ得る場合は、家族持ちでは夫婦どちらか一方がフルタイムで働いてもう片方が社会保障の扶養に入るか、もしくは投資運用会社を用いた法人化による手法を推奨します。(できればアーリーリタイア編でご紹介します)

個人事業主となるか法人を立ち上げ、節税スキームを上手に使うことによって、かなりの税負担の低減が実現できることは、橘玲先生の往年の名著「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」にも強調されているところです。

2500万円の運用資産があれば月14万円生活が可能となる独身セミリタイア編は以下です。
合わせてお読みください。

【単身編】現実的なセミリタイア手法と必要な金額【2500万円】
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