資産形成は目的ではなく手段であることについて

各種考察

資産形成を始めた頃のことを考えてみると、色々な想いや願いがあったことが思い出されます。その目的は人によって異なりますが、単純にお金が沢山あった方が生活が豊かになるからだとか、お金持ちになって贅沢な暮らしがしたいとか、定期預金よりも圧倒的に経済合理的だからだとか、FIRE(アーリーリタイア)したいだとか、このようなものが多いでしょう。

いざ投資を始めてみると、投資銘柄の日々の値動きに注目しがちになります。誰だってなるべく損はしたくないですし、大金持ちでもない限り失ってよいお金なんてありませんから、大事な虎の子である投資資金の一挙手一投足が気になるのも無理はありません。

資産形成を始めた当初は「株式市場に資産を置いておけば10年後にはどうせ大きく育ってるんだから、短期の値動きは気にせずひたすら買い続けよう」と考えていた方も、日々のある種「バーチャル」な値動きである含み損益を「リアル」な損得である確定損益と錯覚してしまい、気づけば短期トレードに興じてしまっていたという人も少なくないのではないでしょうか?

短期トレードによりバイ&ホールドよりも大きな利益を得られているのであればそのスタイルを貫けば良いのですが、「敗者のゲーム」や「ウォール街のランダムウォーカー」、「インデックス投資は勝者のゲーム」という名著群に示されている通り、統計的には取引を行えば行うほどコストがかさみ、得られる果実は残念ながら小さくなっていきます。

また、たとえトレードで利益が得られていたとしても、特にインデックス投資家であれば当初の目論見であった「お金を寝かせて増やそう」という思想とは異なり、それ相応の時間や労力といった多大なコストがかかるだけでなく、精神的なストレスも大きいことでしょう(趣味としての投資であれば何の問題もありません)。

インデックス投資家でなくても、「株式投資の未来」などに啓発された人であれば、やはりバイ&ホールドをはじめのうちは念頭に置いていたことと思います。

短期売買でうまくいく人も一定数存在するためその手法を否定するつもりはないのですが、大多数の人が損をしてしまうということがわかっており、損をしているだけでなく投資資産の値動きに疲弊してしまっている方に向けて、本記事では本来の目的を思い出すことの重要性について述べていきたいと思います。

ソッコーでお金持ちになるには際立った能力と才覚が必要ですが、ゆっくりお金持ちになるのに必要なのは意志と時間だけあれば十分だということは歴史が証明してくれております。

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資産形成の目的は何ですか?

資産形成を始めた当初の目的は何だったでしょうか?

何よりも自由を愛する私の場合、それは「早期の経済的自由到達」でした。「宝の地図」と呼ぶ本ブログ読者にはお馴染みの例の過去200年の片対数グラフが示す米国株式インデックスの再現性の高いハイパフォーマンスと、金融資産が5000万円を超える準富裕層になればインデックス投資による投資リターンだけでも生活していけるということが、私を投資の世界へ導きました。

その後、若気が至ってソッコーでお金持ちになろうとし、一時的に仮想通貨にハマり、バイ&ホールドで持ち続けて(塩漬けし続けて)おりますが、株式投資においてはひたすらインデックスファンドを購入し続けてきました。

私が米国株式インデックス投資を選んだ大きな理由の一つは、パフォーマンスの再現性が高くて何よりもだからというものもがありました。買ってあとは寝ておけば良い。それどころか、自動積立設定をしておけば買う作業すらも不要となる。この「余剰資金の置き場として株式市場に貯株しておくだけでよい」という圧倒的な手間のかからなさが、極度にめんどくさがりな私にとっては最高の相性でした。

本当は自動積立設定だけしたら半年か一年に一回程度、資産規模を確認するだけでいいやと思って運用していたのですが、ひょんなことからこのブログを開始することになり、ほぼ毎日株価を見て、世界のディープなニュースを読み漁っており(最近辛いニュースが多すぎて心が疲弊してます)、現在はYouTubeまで始める始末ですので、この時間コストの良さを活用するという目論見は脆くも崩れ去りました。

ブログに関しては、段々言いにくくなってきましたがそれでもある程度は好き放題自分の主義主張を言えますし、ブログやTwitterきっかけで気の合う人との交流も楽しめますし、過去の創作物である駄文が勝手に毎月それなりのお金を運んできてくれているため、時間コストは犠牲になりましたが十分な(主に精神的な)リターンを得られてると思ってます。

従って、私の場合は「積立設定後ほぼ完全放置しておいて十数年後にリタイア」という当初の目標からは少し遠ざかってしまっておりますが、発信作業は趣味として楽しいので軌道修正は不要かなぁと今は思っております。

ということで、私は全く偉そうなことを言えた身ではないのですが、みなさまの当初の目標や描いていたイメージと現在の状況はいかがでしょうか?

豊かに幸せに暮らすためだとか、何にも縛られずに自由に暮らすためといった大目標がまずあり、それにたどり着くための手段としての資産形成であったのに、それ自身が目的になってしまっている方も多いと思います(私もそういうことが多々あります)。

当初の目標は何だったのかを思い出し、今の手法や取り組み方はその目的に適うものなのかを定期的に確認するという作業は、自分の求めるような人生をデザインする上で重要だと考えます。

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目標の資産形成が達成できた後に何をするか

当然ですが、資産額が当初の目標値をクリアした後にも人生ゲームは続きます。

資産形成というゲームは難易度の高さ故の面白さがあり、夢中になりがちだと思いますが、これをクリアすることが人生のゴールではないはずですよね。

これをクリアすることは、次のステージのスタートでもあるはずです。

目標資産額をクリアしたらその後何をやるのかについて、早い段階で考えておくべきでしょう。別に、高尚なことや他人から褒められるようなことをしなければならないなどということはなく、毎日だらだらしながら好きなだけネットサーフィンをするとか、山に籠って自給自足の生活を始めるとか、ひたすら読書や趣味に打ち込むといったことでもなんら問題ありません。何もしないというのも一つの選択肢でしょう。

ただし、この困難な資本主義社会ゲームにクリアしたあとに青い鳥症候群となり、特に何も起こらない日々を過ごして「こんなはずじゃなかった・・・」などと思ってしまうのは悲し過ぎます。

99%の人達がクリアできずに終わる資本主義社会ゲームにクリアできた人であれば、更なる大いなる目標(野望)もクリアできるようなポテンシャルを秘めていることでしょう。

そして、そのようなポテンシャルは、お金との距離を置いて、他人ではなく自分のために自分のやりたいことを行うという主体的行為において、いかんなく発揮されるものです。

仕事をするにしても、他人(会社や上司)のための仕事であるか、自分がやりたくてやっている仕事であるかによって、日々の充実度もアウトプットの質・量ともに雲泥の差が生じるのではないでしょうか。

物心がついて以来、何をやるにも我々を常に制限して離さなかった「お金」という概念から解放された暁に何をするかについて、今一度考えてみることをお勧めします。(何度も言いますが、何もやらずに自由にのんびりするという積極的怠惰も一つの選択肢です)

それにより、現在のお金の呪縛からも精神的には少しばかり解放されるでしょうし、大目標を意識することで、日々の資産規模の変動はあまり気にならなくなります。

所詮、お金なんていうものは誰かが生み出した概念でありツールであり、場合によっては支配の道具でしかありません。少し俯瞰して見るぐらいがちょうどよいのかもしれません。

そのような心持ちがあれば、たとえ第二次コロナショックの到来により未曽有の経済危機が到来したとしても、長期的視野を持つことでうまくサバイブできることでしょう。

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まとめ

コロナショックは多くの個人投資家を退場に追い込みました。

退場には至らなくとも、大きなダメージを受けた人も多いことでしょう。

その原因の大部分は長期的な視野を持つことで解消できますし、そもそも何のための投資であるかを明確にすることで、目的のために適切な行動がとれるようになるはずです。

どのように資産形成を行うかということについては完全に個人の自由であり、一介のブロガーが口をはさむようなものではないのですが、想定とは違う理由で消耗されている方が初心を思い出すためのきっかけになれば幸いです。

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