他者と比較することの無意味さについて

各種考察

我々は、なにかにつけて人と比較して一喜一憂しがちです。

投資活動においてもそれは例外ではありません。自分の投資対象がふるわない時期に他の投資対象がグングン伸びていると、そちらへの投資が羨ましくなります。

資産規模や毎月の投資資金が多い人を見ると、少ない自分がなんだか情けなく感じてしまいます。

給料が高い人の方が価値があるような気がして、給料が低い自分にはあまり価値が無いんじゃないかと劣等感を抱いたりすることもあります。

たとえ順調に資産形成が進んでいたとしても、自分よりずっと早く資産形成を始めた20代前半の投資家の存在を知ると、過去の自分の思慮分別の至らなさを悔いてしまいます。

これは、21世紀を生きる日本人であれば当然の反応なのですが、ここで一つだけ言わせてください。

自分と他人を比較するのは無意味かつ危険ですので辞めましょう

なぜなら、優越感というのは勝者総取りに近いモノであり、この世に存在する優越感の総量よりも劣等感の総量の方が圧倒的に多いため、比較すればするほど自己肯定感は失われていくマイナスサムゲームだからです。

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何故人は比較してしまうのか?

我々が生きているこの世界は、資本主義社会です。

資本主義の根幹を成すこととして、自由競争という考え方があります。自由競争とは、政府や公的機関が業界や企業を選択的に強化してコントロールするのではなく、誰でも参加可能な市場において公的機関や政府があまり手出しすることなく自由に競争させることで、盛者必衰のことわりの示す通りに市場が新陳代謝を行いながら発展していくことを是とする社会形態のことを指します。

このような指針の社会に生きている我々は、幼少のころから競争にさらされております。

乳幼児の時期には、親が他の子どもと比較することにより、言葉をしゃべることや読み書きの訓練を受けたりします。おむつを卒業するのが遅い子供は、「もうみんなオムツを使ってないから早くパンツになれようね」と本人のペースは度外視で半ば強制的にオムツを取り上げられたりします。

親が競争社会で生きているため、その考え方は多くの場合子供にも強要されます。

これは、小学生に上がってからも変わりません。生まれるタイミングや個性により脳やからだの発育度は異なるというのに、学校教育はそのような背景を度外視した画一化されたペーパーテストを受けさせます。

その結果によって頭の良しあしを判断したり(されたり)、50m走や1500m走などで可能な限り人より良い記録を出そうとしたり、習い事をしては「誰々ちゃんより上手にできた」とか「サッカークラブで一軍になれた」などと満面の笑みを浮かべて親のご機嫌を取ったりと、子供は他人と比較し比較される競争社会で価値観を形成していき、親や先生の顔色をうかがいながらすくすくと育ちます。

そして、義務教育を終えた段階では、他人の評価や見た目を気にするあまり、自分の自由と権利を投げだしてでも社会が求める価値を提供しようとするような、立派な競争社会員として育ちます。

日本は特にこのような教育がうまく機能しています。人口縮小社会にあっても、他国(勝戦国)から不当な搾取をされていても、権力者達が売国しようとも、それなりの国力を保てているのはこの教育制度がうまく機能しているからだと思われます。(流石にジリ貧ではありますが)

このような競争主義の生き方・考え方が当たり前であるため、何をするにも人と比較してしまうのは当然のことだと思います。他者との比較の中で自己のアイデンティティを獲得するように育つからですね。そもそも生命の営み自体が遺伝子を残すという大目標に向けた子孫繫栄競争であるとすれば、進化の過程を経て遺伝的にも好戦的な資質が人間には備わっているのかもしれません。

この「比較」という自己・他者の目による監視の鎖を解くには、意識的に比較しないようにする訓練が必要となります。これにより、自分は自分だという強い軸が築ければ、多少は生きやすくなると考えます。

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比較の本質は承認欲求

なにかにつけて人と比較をしてしまう性質の根源的なルーツは上述した通り教育制度と遺伝的な要因があるのですが、その動機は何かというと突き詰めれば承認欲求となるでしょう。

SNSを見ているとよくわかるとおり、人間は承認欲求に囚われております。これは多かれ少なかれ誰にでもあてはまることであり、無論私も例外ではありません。

親や先生、世間の顔色をうかがいながら生きてきた多くの人は、人から褒められるとたまらなく嬉しくなります。もっと褒められたいし、認められたいからより一層頑張ります。多くの社会人が出世競争にあくせくするのは、単純に給料が上がるからというだけではなく、承認欲求を満たす手段として会社や世間に認められるということの価値が大きいからでしょう。

逆に言うと、我々は他人に悪く思われることを極端に嫌います。従って、人間性が合わない人や横柄な人、或いは社内で偉い人(役割上の裁量が大きいだけで何も偉くは無いのですが)にも嫌われないように気を遣い、言いたくもないおべっかを言い、出たくもない飲み会で聞きたくもない人生訓をありがたそうに聞きながらお酌をし、色々な大切なものを犠牲にしたりします。

この承認欲求を自ら満たせればどうなるでしょうか?つまり、人からどう思われるか、上司や同僚からどういう評価をされるかという指標をかなぐり捨てたらどうなるでしょうか?

はい、無敵の人になれます(笑)

自ら承認欲求を満たすことが出来れば、他人の評価に依存しなくてよくなります。

無敵の人’s Wayを突き進んで窓際ぶら下がりおじさんになるべきかどうかはその人の価値観や倫理観次第なので置いておきますが、少なくとも嫌なことは嫌だと言うことができ、他人や会社に対して対等に自分の権利を主張できることは本来あるべき姿であり、健全な状態だと思います。

他人の評価や顔色を気にしすぎるあまり、サービス残業や不必要な業務外業務、無用な気遣いが蔓延して心の病が蔓延っているのが今の日本の姿だと思います。

みんながサービス残業は会社の違法行為だからやらないと宣言し、上司が残っているからという理由で特にやることも無いのに残業をしたりせず、出たくもない飲み会には出ないし業務外業務は行わないとなれば、もう少し生きやすい世の中になるんじゃないかなぁと夢想します。

そのための一歩が承認欲求を他人の評価により満たそうとしないことであり、これは少しづつ他人を気にしないように訓練していくことにより習慣として身に着けることができます。

これは、何も他人をないがしろにしようとか、思いやりや慈悲の心を捨てようとか、仕事や責任を放棄しようと言っているのではありません。他人を慮る気持ちはちゃんと持ちつつ、それと同じぐらい自分も大切にし、自分の中に軸を持ち、自尊心を己で満たし、他者への承認依存度を下げることにより、雁字搦めの見えない鎖を解錠し、もう少し自由に自分らしく生きていきましょうという提言です。

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まとめ

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冒頭でも述べましたが、究極的には自分と他者との比較は無意味です。資本主義社会は競争社会であり、また遺伝的に獲得した気質も手伝い、特に日本人は頑張りすぎてしまいます。

こうでなければいけないという思い込みが強く、多様性が認めらにくい部分もあり、このことが社会的な閉塞感と生き辛さを生んでいると思います。他人から比較されるだけでなく自分からも比較してしまうと、ストレスフルになってしまいます。

これに対して個人的に対処する一つの方法が、他者となるべく比べないように意識することで、承認欲求を他者で満たす比重を小さくして自己完結型にすることです。

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」

「みんな違ってみんな良い」

これらの言葉は、真理の一つだと思います。

投資家であれば、投資手法を比較検討して最も自分が良いと思うものを探究することは必要不可欠なことだと思います。どんどんやるべきでしょう。

一方で、他人の資産規模や入金力、または短期的な他人の投資パフォーマンスを自分と比較するのは愚行と言えます。他人と自分とは環境も境遇も年齢も遺伝的特性も何もかもが異なるため、比較してもしょうがないからですね。

また、景気にはサイクルがありますから、どんな手法も浮き沈みは当然あります(その浮き沈みを極限まで小さくするオールウェザー投資法などもありますが)。

短期的な浮き沈みはあまり気にすることなく、凄腕かまぐれかホラ吹きかわからないネット上での他者のハイパフォーマンスには翻弄されずに、確率的・統計的に長期で見て再現性が高いハイパフォーマンスな手法を探究し、採用していきたいものですね。

※本記事ではあくまで「自分と他人との比較」が無意味だと主張しているものであり、モノやサービス、概念同士の比較検討を否定するものではありません。

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コメント

  1. より:

    人から学ぼうとすると比較になりがちで嫌になりませんか?