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米国株式市場での長期リターンのモンテカルロシミュレーション

分析

理系の錬金術師です。

米国株投資家であればご存知の通り、米国株式市場は過去200年間以上に渡って配当再投資条件での年間平均実質リターンが約7%という驚異の実績を誇ってきました。

一方で、長年にわたる株式市場の値動きから数学的に求められた統計値として、期待リターンリスク(標準偏差)が算出されております。

本記事では理数的な考察として、この統計値に基づく乱数(サイコロを降るように適当に得た値)を用いて大量に試行することにより将来のリターンを確率的に推定する、通称「モンテカルロシミュレーション」を通して、将来のリターンの確率的な予測と、株価の正規分布仮定の妥当性を問います。

※数学的な話は置いといて結論が知りたいという方は、以下目次から「米国株式市場におけるモンテカルロシミュレーションの結果と考察」にスキップすることをおすすめします。

仮定:株式市場の値動きは正規分布に従う

昨今ではITの発展からビッグデータが注目されており、統計学はビジネスの現場でも重視されるようになってきているため、正規分布という表現を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

正規分布とは、自然界に数多く存在し、統計処理では最も多くのケースで採用されるもので、注目している「尺度」に対する「個数」の特徴的な分布です。

正規分布は英語で表すとNormal Distributionとなりますが、このNormalとは文字通り「普通の」とか「ごくありふれた」という意味です。人間の身長や体重、テストの点数の分布、さらには降水時の雨粒の大きさなども正規分布に当てはまると言われております。

3σ

出典:to-kei.net

上図は正規分布のグラフを示しております。横軸は値で、縦軸は頻度(または確率)です。

ここで、図中のσとは標準偏差と呼ばれるもので、この分布のばらつきの度合いを意味します。正規分布では、+1σから-1σの中に納まる確率が68%、±2σ内では95%、±3σでは99.7%となります。

なぜ正規分布の説明をしたかというと、投資家の方なら気になるであろう株価の推移も金融工学では正規分布に従うと仮定してその理論が構築されているからです。

要は、汎用性の高い分布として正規分布というものがあり、株価もそれに従うと一般的に考えられているということです。

現に、証券会社のホームページを見ると、各銘柄やインデックスに対してリスクと期待リターンというものが書かれているのを目にしたことがあると思います。このリスクとは、正規分布での標準偏差(上図のσ)であり、期待リターンとは正規分布を仮定した場合の期待値を指します。

米国株式市場の統計値

それでは、我らが米国株式市場(S&P500)のリスクとリターンはどうなっているでしょうか?

投資家のみなさまにはお馴染みのシーゲル先生が、約200年に渡る株価データを基に米国株式市場の配当再投資条件での実質リターンとそのリスクを以下の図のとおり算出してくれております(第二版とちょっと古いですが現在もさほど変わらないでしょう)。

出典:Stocks for the long run (2nd Edition), Jeremy J. Siegel (1998)

ここで注目すべきは真ん中あたりにあるTotal Real Returnsと書かれた列の一行目(1802-1997の期間)です。この表から以下のことがわかります。

米国株式市場の過去約200年間の統計値
・実質トータルリターン:7.0%(幾何平均)
・リスク:18.1%
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米国株式市場におけるモンテカルロシミュレーションの結果と考察

前項で、米国株式市場の実質トータルリターンは年7.0%であり、リスク(標準偏差)は18.1%であることがわかりました。これら二つの情報があれば、正規分布を仮定した乱数を振って大量の試行を行うモンテカルロシミュレーションにより、確率的な結果が予測できます。

ということで、早速モンテカルロシミュレーションをやっていきましょう!

条件は以下です。

モンテカルロシミュレーションの諸条件(S&P500)
・年間の指数の推移は正規分布を仮定
・実質リターンは7.0%
・リスクは18.1%
・試行回数は10000回
・投資期間は1, 3, 5, 10, 15, 20, 25, 30, 40, 50年間
・使用言語はPython

例えば、5年の場合は5回乱数を振ってそれらを掛け合わせた値(=5年後のリターン)を10000回計算することで、最終的なリターンの倍率の確率分布を求めます。以下の図は、各投資期間におけるリターン倍率(横軸)とその確率(縦軸)の関係です。縦軸の確率は、1の時が100%で例えば0.2だと20%です。

・1年間のリターン確率分布↓

・3年間のリターン確率分布↓

・5年間のリターン確率分布↓

・10年間のリターン確率分布↓

・15年間のリターン確率分布↓

・20年間のリターン確率分布↓

・25年間のリターン確率分布↓

・30年間のリターン確率分布↓

・40年間のリターン確率分布↓

・50年間のリターン確率分布↓

さて、上図を見てどう思われたでしょうか?

特徴の一つとしては、投資年数が増えるにしたがって右側(高倍率側)に分布が広がっていくということです。これは、長期投資家としては喜ばしいことですね。

もう一つの重要な特徴は、30年間の長期投資であっても5%程度は元本割れすることがあり(0~1倍の確率が0.052であるため)、また確率的に最も起こりやすい最頻値は2~3倍程度と大した倍率ではないことです。

あれ、ちょっとおかしいですね。

米国株式市場は配当再投資条件では過去200年に渡って20年以上投資すれば元本を割ることが無く、また実質トータルリターンは平均で約7%だと30年では約7.6倍(下表参照)となることが期待できるはずです。

投資期間元本割れ
確率
1~2倍2~4倍4倍以上期待値中央値
1 年0.3590.641001.07倍1.07倍
3 年0.290.680.02901.22倍1.19倍
5 年0.2510.6130.13501.4倍1.32倍
10 年0.1630.4410.3370.0591.98倍1.74倍
15 年0.1310.3010.3770.1912.77倍2.25倍
20 年0.0940.2190.3450.3423.87倍2.92倍
25 年0.0680.1690.280.4845.59倍3.82倍
30 年0.0520.1220.240.5867.62倍4.96倍
40 年0.0310.0730.150.74515.2倍8.47倍
50 年0.0210.0430.0970.83929.6倍13.85倍

上図の通り、30年間投資では、期待値が7.62倍であるのに対し、中央値は4.96倍となっております。中央値とは、試行結果を下から(もしくは上から)順番に並べたときに、ちょうど真ん中に来るケースの値のことです。今回は10000回試行してるので、5000番目が該当します。

何故期待値と中央値が大きく乖離しているのでしょうか?その原因は、グラフでいう右側の高倍率側のすそ野が広いため、ハイパフォーマンスな結果が期待値をグッと高めに引き寄せているからです。(期待値とは「値×確率」の総和であるためです)

平均年収と年収の中央値とが異なる理由と同じですね。孫正義氏のように桁違いに稼ぐ人が国民の平均収入を高収入側にひっぱるというやつです。

つまり、この結果からだと30年間投資する場合は、順番的に中心に来るリターンとしては中央値である5倍を見込んだ方がよさそうだと言えます。

ところで、米国株式市場は配当再投資条件では過去200年に渡って20年以上投資すれば元本を割ることが無かったのに対して、今回のモンテカルロシミュレーションでは30年間の長期投資であっても5%程度は元本割れすることがあるという結果はなぜ起きているのでしょうか?

統計の専門家でも経済の専門家でも無い著者には定かなことは言えませんが、個人的な意見としては、この原因はおそらく株価の長期推移は正規分布が当てはまらない、数学的に言うと株価は年単位では独立事象ではないということだと思います。

そして、そうなる理由としては、長期的に指数関数的な右肩上がりになるように「平均回帰の法則」という名の見えざるチカラが働いているためだと考えます。

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まとめ

正規分布を仮定したモンテカルロシミュレーションにより、米国株式市場への配当再投資条件での未来のリターン確率分布を仮定して求めました。

モンテカルロシミュレーションと実際の過去200年の株価推移とは若干異なる部分があり、個人的な見解としてその理由は平均回帰の法則が働くことで株価推移が年単位では独立事象ではなく、正規分布が当てはまらないのではと考えます。

まぁ、どちらにしても長期株式投資家の未来は明るいということが確率的に示せたと思います。

※本件に関して詳しい方がもしいれば、コメント欄に間違いのご指摘やアドバイス等いただければ幸いです。

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